金魚妻のあらすじと感想を綴っています。

専業主婦のさくらは夫が浮気していることに気づき…

 

金魚妻のあらすじ

専業主婦として夫と暮らしていた平賀さくらは、最近、夫とすれ違う日々を過ごしていました。

話しかけても生返事を返すかのように接し、休日でもどこかへと出掛け、夫婦水入らずとは縁遠い関係に、さくらは夫にもしやと疑いの念を抱き出していました。

自分にそっけなくする夫が今日も仕事へと出掛け見送った後に、彼女は興信所に頼んでいた郵便物を確認します。

彼女は夫の身辺を調べ、探偵に浮気調査報告書を纏めてもらっていました。

そしてそこに書かれていたのは、夫から愛されていないとする、辛い事実でした。

夫は浮気をし、自分以外の女性と密会を重ねていたのです。

突き付けられた現実に、さくらはどうしようもない気持ち抱いてしまいます。

金魚を飼う事を相談しても、自分に対して素っ気なく、浮気女に夢中な夫。

水槽を購入し、金魚を飼う準備をしても、唐突に返品して来いと、高圧的な事を平然と言い、自分の事をないがしろにする夫に、彼女の気持ちは夫から離れていました。

返品をする様に言われた水槽を抱え、金魚屋の店長・豊田の下へと訪れる彼女。

豊田はさくらに金魚の飼い方を進めてくれた相手であり、彼と過ごす時間に、久しぶりの穏やかな時間を過ごせていたさくらは、この人が進める金魚を飼いたいと気持ちを抱いていました。

普通の店員・客として出逢った二人。

彼が進めてくれた飼育セットを購入した彼女ですが、それを夫に拒絶されてしまい、さくらの心は物寂しさを覚えていましたが、豊田を過ごす中で、自分が蔑ろにされない、人として向き合ってくれる彼に、想いを寄せていく事となります。

水槽を夜中に戻しに来たさくらに、豊田は暖かく迎え入れてくれました。

自宅へと招き入れ、ここで金魚を飼えばいいと進めてくれる彼に、金魚の養殖場へと案内されていきます。

別世界に様に見える、金魚が養殖されている水槽の部屋を眺めながら、飼われている金魚と自分が重なって見えるさくら。

店長に自然と心を許してしまい、夫の浮気の事を彼に相談していきます。

話す事で心が軽くなった彼女は、ある金魚に興味が注がれていきます。

それは売り物にならない、いわゆるはねっ子と呼ばれている金魚でした。

いずれ他の魚の餌となるだけの、商品として見放された金魚を、自分と重ねて見てしまい、その金魚を飼おうとするも、水槽から救い出そうとした際に失敗してしまい、金魚の鱗が剥がれてしまいます。

死んでしまうかもと、不安を抱き泣き出してしまうさくらに、鱗は再生すると言い、彼女を優しくなだめます。

そしてそのまま雰囲気に流されていく様に、互いの想いを寄せていく二人……

さくらの想いは、豊田へと重なっていきます。

 

 

金魚妻の感想!

夫に愛されていないと、さくらの不安から始まる物語。

物語の前半から重い雰囲気で、仕事へと向かう夫の姿を見送りながら、さくらは夫の浮気の事実を知ってしまうと、彼女の境遇の不憫さが垣間見えてしまいます。

そんな中で、金魚を飼おうと、夫の浮気に耐えなければいけない生活に、僅かながらの潤いを得ようとするさくらは、金魚の専門店を開く豊田と出逢います。

豊田は優しい性格をしており、傷ついた彼女の受け止めていく包容力を持ち合わせた、夫とは違う雰囲気のある男性でした。

そんな彼に気持ちを許していく時間は、さくらの傷ついた気持ちを癒していく、久方ぶりの癒しとなり、笑顔を作る彼女がどれだけ豊田に癒されているのかと、彼への想いを募らせていくと、自分も夫と同じように浮気へと傾いてしまうも、豊田の優しさに依存してしまう彼女と、どれだけに夫に高圧的な日々を送らされていたのかと、さくらの不憫な日々と、この作品の中で見えるのは、傷ついた彼女の心が再生していく内容にあります。

夫は浮気をしているにもかかわらず、さくらに何の後ろめたさを抱くわけでもなく、あくまでも高圧的に自分が主だと振る舞う、そんな夫に、彼女は心底疲れていると、心理的な疲弊が見え、それが水槽と限られた世界を泳ぐ金魚と自分が重なりながら、そんな自分を自由にしたいと、その相手にと豊田へと気持ちを通わせてしまうさくらの純粋な気持ちが交わってく純情な恋の物語として楽しめる内容の物語です。